この章では、下請け営業と直受け営業の違いを詳しく整理します。
どちらもWeb制作の案件獲得ですが、相手、営業の目的、伝えるべき情報、受注後の責任範囲が違います。
違いを理解しておくと、営業文やポートフォリオの見せ方を変えやすくなります。
相手の違い
下請け営業と直受け営業では、営業する相手が違います。
| 種類 | 主な相手 |
|---|---|
| 下請け営業 | 制作会社、デザイン会社、ディレクター、マーケター、広告代理店 |
| 直受け営業 | 店舗、企業、個人事業主、団体、サービス運営者 |
下請け営業の相手は、Web制作やプロジェクト進行に慣れていることが多いです。
そのため、専門的な言葉が通じやすい一方で、品質や対応力も見られます。
直受け営業の相手は、Web制作に詳しくないことも多いです。
そのため、専門用語をそのまま並べるより、相手の事業や目的に合わせて説明する必要があります。
目的の違い
下請け営業の目的は、外部パートナー候補として覚えてもらうことです。
今すぐ案件が出るとは限りません。
「コーディングを頼める人」「WordPress対応できる人」「急ぎの下層ページを頼める人」として、候補に入ることが大切です。
直受け営業の目的は、相談を受け、制作内容に合意し、発注してもらうことです。
相手の課題を整理し、どんなサイトを作るのか、いくらかかるのか、どう進めるのかを説明します。
求められる信頼の違い
下請け営業では、「この人に任せると制作進行が楽になる」と思ってもらうことが重要です。
具体的には、次のような信頼です。
- 指示を正しく理解できる
- デザインを丁寧に再現できる
- レスポンスが安定している
- 納期を守れる
- わからないことを早めに質問できる
- 修正対応が丁寧
- 守秘義務を守れる
直受け営業では、「この人に相談すれば目的に合う進め方を考えてくれる」と思ってもらうことが重要です。
具体的には、次のような信頼です。
- 目的を聞いてくれる
- 予算や納期を整理してくれる
- 必要なページや機能を提案してくれる
- 専門用語をわかりやすく説明してくれる
- 見積もりの前提を説明してくれる
- 公開後のことまで考えてくれる
どちらも信頼が大切ですが、信頼される理由が違います。
営業で伝える情報の違い
下請け営業では、相手が発注判断をしやすい情報を先に出します。
たとえば、次のような情報です。
- 対応できる作業
- 使用できる技術
- 過去実績
- ポートフォリオ
- 稼働時間
- 連絡可能時間
- 目安単価
- 対応開始可能日
直受け営業では、相手の課題に合わせて提案する必要があります。
そのため、最初から自分のスキルだけを並べるより、相手の状況を聞くことが重要です。
- サイト制作の目的
- 現状の課題
- ターゲット
- 必要なページ
- 希望納期
- 予算感
- 公開後の運用
下請け営業は「判断材料を渡す」、直受け営業は「相談を整理する」と考えるとわかりやすいです。
クロージングの違い
直受け営業では、提案や見積もりを出した後に、発注するかどうかの判断があります。
そのため、発注前確認や意思決定の後押しが必要になることがあります。
一方、下請け営業では、強いクロージングをする場面は多くありません。
制作会社側は、案件が出たタイミングで必要なパートナーに連絡します。
そのため、下請け営業では、次の状態を作ることが大切です。
- 連絡先がわかる
- 対応範囲がわかる
- 実績を確認できる
- 稼働条件がわかる
- 必要な時に思い出してもらえる
受注後の責任範囲の違い
下請け案件では、全体の進行管理は制作会社やディレクターが担当することが多いです。
自分は、コーディング、WordPress実装、ページ追加、修正対応など、担当範囲の作業に集中します。
ただし、担当範囲内の品質と納期には責任があります。
直受け案件では、制作全体の進行管理も自分が担うことが多くなります。
ヒアリング、要件整理、見積もり、素材回収、確認依頼、公開、納品後の対応まで見る必要があります。
この部分は、クライアントワーク講座ともつながります。
どちらから始めるか
どちらから始めるべきかは、人によって違います。
ただ、Web制作初期では、下請け営業から始める方が進めやすいことがあります。
理由は、制作会社側が案件全体を管理してくれる場合があり、自分は担当作業に集中しやすいからです。
一方で、直受け営業は、自由度が高い分、提案、見積もり、進行管理の負担も大きくなります。
最初は下請けで実務経験を積み、その後に直受けへ広げる流れも自然です。
この章のまとめ
- 下請け営業と直受け営業では、相手、目的、伝える情報、責任範囲が違う
- 下請け営業では、制作会社が判断しやすい情報を整理して届ける
- 直受け営業では、相手の目的や課題を聞き、提案と見積もりに落とし込む
- 下請け営業では、強いクロージングよりも候補に入ることが重要
- まず下請けで実務経験を積み、直受けへ広げる流れも現実的