06. スケジュールと進行管理

この章では、Web制作案件のスケジュールと進行管理を学びます。

制作スケジュールは、制作者だけの作業予定ではありません。

クライアントの確認、素材提出、修正依頼、公開準備まで含めて考える必要があります。

スケジュールを作る理由

スケジュールを作る理由は、納期に間に合わせるためだけではありません。

何をいつまでに決める必要があるかを、関係者全員で共有するためです。

スケジュールがないと、次のような問題が起きやすくなります。

  • 素材が来ないまま制作が止まる
  • クライアント確認が長引く
  • 修正期間が足りなくなる
  • 公開直前に大きな変更が入る
  • 誰が何を待っているのかわからなくなる

スケジュールは、制作側だけで完結しません。

クライアント側の確認期間も、最初から組み込んでおきます。

工程を分ける

Web制作のスケジュールは、工程ごとに分けて考えます。

一般的には、次のような工程があります。

  • ヒアリング
  • 要件整理
  • サイト構成
  • 原稿・素材準備
  • デザイン制作
  • デザイン確認
  • 実装
  • 実装確認
  • 修正
  • 公開準備
  • 公開
  • 納品

工程を分けると、どこで止まっているのかがわかりやすくなります。

たとえば、制作側の作業が遅れているのか、クライアント確認待ちなのか、素材待ちなのかを区別できます。

クライアント確認期間を入れる

スケジュールを作る時に忘れやすいのが、クライアント確認期間です。

制作側がデザインを提出しても、その日のうちに返事が来るとは限りません。

社内確認が必要な場合は、数日から1週間以上かかることもあります。

そのため、スケジュールには次のような確認期間を入れておきます。

  • 構成確認: 2〜3営業日
  • デザイン確認: 3〜5営業日
  • 実装確認: 3〜5営業日
  • 公開前最終確認: 1〜2営業日

確認期間を入れないと、見た目上は余裕があるスケジュールでも、実際にはかなり厳しくなります。

素材提出期限を決める

原稿や写真などの素材が遅れると、制作全体が遅れます。

素材提出期限は、制作開始後に何となくお願いするのではなく、スケジュールの中に入れておきます。

たとえば、次のように伝えます。

素材提出期限の伝え方
デザイン制作に入るため、以下の素材を〇月〇日までにご共有ください。

- ロゴデータ
- トップページ用の写真
- サービス紹介文
- 会社概要の情報
- お問い合わせ先情報

期限までに素材がそろわない場合、公開予定日を調整する可能性があります。

素材が遅れた場合に公開日へ影響することも、先に伝えておきます。

公開日から逆算する

公開日が決まっている案件では、公開日から逆算してスケジュールを組みます。

たとえば、〇月〇日に公開したい場合、公開前の最終確認、修正期間、実装期間、デザイン確認、素材提出期限を逆算します。

公開直前に余裕がないと、フォーム不具合や表示崩れに対応しづらくなります。

最低でも、公開前に確認と修正の期間を確保します。

工程目安
素材提出公開の4〜6週間前
デザイン確認公開の3〜4週間前
実装完了公開の1〜2週間前
最終確認公開の数日前
公開公開日

案件規模が大きいほど、もっと余裕が必要です。

バッファを入れる

スケジュールには、バッファを入れます。

バッファとは、予期しない遅れや修正に対応するための余裕です。

Web制作では、次のような理由で予定が変わります。

  • 原稿が遅れる
  • 写真が差し替えになる
  • 確認者が増える
  • フォーム仕様が変わる
  • ドメインやサーバー情報が不足する
  • 公開前に追加修正が入る

バッファがないスケジュールは、一度遅れると全体が崩れます。

短納期案件ほど、何を削るか、どこまで対応するかを慎重に決めます。

進捗共有をする

進行中は、定期的に進捗を共有します。

進捗共有は、長い文章でなくても構いません。

次の3つが伝われば十分です。

  • 今どこまで進んでいるか
  • 次に何をするか
  • 相手に確認してほしいことは何か
進捗共有の例
現在、トップページのデザインを作成しています。

今週金曜日までに初稿を共有予定です。
共有後、来週水曜日までにご確認いただけますと、予定通り下層ページの制作に進めます。

定期的に共有すると、クライアントも状況を把握しやすくなります。

遅延時の連絡

遅延が起きた場合は、早めに連絡します。

遅れてから報告するより、遅れそうな段階で伝えた方が調整しやすくなります。

遅延連絡では、次の内容を伝えます。

  • 何が遅れているか
  • 理由は何か
  • 影響範囲はどこか
  • 代替案はあるか
  • いつまでに再共有するか
遅延連絡の例
ご共有いただく予定のサービス紹介文について、現時点で未着のため、デザイン制作の一部が保留になっています。

〇月〇日までにご共有いただける場合は、現在の公開予定で進行できます。
それ以降になる場合は、公開日を数日調整する可能性があります。

まずは、現時点で用意できている範囲だけでもご共有いただけますでしょうか。

相手を責める書き方ではなく、状況と影響を伝えることが大切です。

タスク管理ツールの入口

案件によっては、タスク管理ツールを使うと便利です。

たとえば、Notion、Trello、Asana、Backlog、Googleスプレッドシートなどがあります。

ただし、ツールを使えば進行がうまくいくわけではありません。

大切なのは、次の情報を見える状態にすることです。

  • タスク名
  • 担当者
  • 期限
  • 状態
  • 関連資料
  • コメント

小さな案件では、スプレッドシートや共有ドキュメントでも十分です。

ツールよりも、情報が更新されていることを重視します。

この章のまとめ

  • スケジュールは、制作側の作業だけでなくクライアント確認も含めて考える
  • 工程を分けると、どこで止まっているか把握しやすい
  • 素材提出期限と確認期間は、最初からスケジュールに入れる
  • 公開日が決まっている場合は逆算して進める
  • 遅延が起きた時は、理由、影響、次の対応を早めに伝える