11. 納品・公開後の対応

この章では、納品と公開後の対応について学びます。

Webサイトは、公開したらすべて終わりではありません。

納品物を整理し、公開後の確認範囲を伝え、初期不具合と追加対応を分けることが大切です。

納品とは何か

納品とは、制作した成果物をクライアントが使える状態で引き渡すことです。

Web制作では、納品の形が案件によって変わります。

たとえば、次のような納品があります。

  • Webサイトを公開する
  • HTML/CSS/JavaScriptファイルを渡す
  • WordPressサイトを管理画面付きで引き渡す
  • デザインデータを渡す
  • 操作マニュアルを渡す
  • 管理情報を整理して共有する

どれが納品物になるかは、案件の前提によって違います。

制作開始前に決めた納品物を、納品時に改めて確認します。

納品物を整理する

納品時には、渡すものを一覧にします。

納品物が曖昧だと、後から「これも必要だった」という話になりやすくなります。

よくある納品物は次の通りです。

  • 公開URL
  • 管理画面URL
  • 管理者アカウント
  • 操作マニュアル
  • ソースファイル
  • デザインデータ
  • 画像素材
  • 更新手順
  • 保守内容
  • 初期不具合対応期間

アカウント情報を渡す場合は、安全な共有方法を使います。

メール本文にパスワードをそのまま書くことは避けます。

操作説明と更新マニュアル

WordPressなど、クライアントが更新するサイトでは、操作説明が必要になることがあります。

操作説明では、すべての機能を細かく説明するよりも、クライアントが実際に行う作業に絞ります。

たとえば、次のような内容です。

  • お知らせを追加する
  • 実績を追加する
  • 画像を差し替える
  • 固定ページの文章を編集する
  • パスワードを変更する
  • 問い合わせを確認する

更新マニュアルは、PDF、Googleドキュメント、Notion、動画など、案件に合わせて用意します。

小さな案件では、簡単な文章とスクリーンショットだけでも十分役立ちます。

ソースファイルの扱い

ソースファイルやデザインデータを渡すかどうかは、事前に決めておきます。

制作会社や制作者によって、納品する範囲の考え方は異なります。

たとえば、公開されたWebサイトは納品するが、作業用の元データは別扱いにする場合もあります。

重要なのは、後から揉めないように、契約前や見積もり時に前提をそろえることです。

公開後の確認

公開後は、本番環境で表示や動作を確認します。

公開前に確認していても、本番URLに切り替わることで確認すべき項目があります。

  • 公開URLで表示されるか
  • SSLが有効か
  • フォームが送信できるか
  • 管理者宛メールが届くか
  • OGPが正しく出るか
  • 旧URLからリダイレクトされるか
  • Googleマップや外部埋め込みが表示されるか
  • スマホで問題なく見られるか

公開後すぐに、クライアントにも確認してもらいます。

ただし、公開直後の確認範囲と、後日追加される要望は分けて扱います。

初期不具合対応

初期不具合とは、制作範囲内で本来動くべきものが動いていない状態です。

たとえば、次のようなものです。

  • リンク先が間違っている
  • フォームが送信できない
  • 指定した画像が表示されていない
  • スマホで大きく崩れている
  • 管理画面で更新できない

初期不具合は、制作側で対応することが多いです。

ただし、どの期間まで初期不具合として見るかは事前に決めておきます。

たとえば、「公開後2週間以内に確認された制作範囲内の不具合に対応します」のように伝えます。

追加修正との線引き

公開後の依頼には、初期不具合ではなく追加修正にあたるものもあります。

たとえば、次のような依頼です。

  • 新しいページを追加したい
  • 原稿を大きく書き換えたい
  • 新しいフォームを作りたい
  • デザインの雰囲気を変えたい
  • 公開後に別サービスと連携したい
  • 掲載内容を定期的に更新してほしい

これらは、追加費用や保守契約の対象になることがあります。

線引きを伝える時は、冷たく断るのではなく、対応方法を案内します。

追加対応の案内例
ご相談いただいた新規ページ追加について、公開後の追加対応となります。

内容を確認したうえで、作業範囲とお見積もりをご案内します。

急ぎで掲載したい場合は、まず既存ページ内に簡易的に追記し、後日ページ化する進め方も可能です。

保守契約への案内

公開後に継続的な更新や管理が必要な場合は、保守契約を案内します。

保守契約の内容は案件によって異なりますが、よくあるものは次の通りです。

  • 軽微なテキスト修正
  • 画像差し替え
  • WordPress更新
  • バックアップ確認
  • セキュリティ確認
  • 月次レポート
  • 問い合わせ対応
  • サーバーやドメイン更新の確認

保守契約を案内する時は、何が含まれて、何が含まれないのかを明確にします。

毎月何でも対応する契約にすると、作業範囲が曖昧になります。

納品完了連絡

納品時には、完了連絡を送ります。

納品完了連絡には、公開URL、納品物、初期不具合対応、今後の連絡先をまとめます。

納品完了連絡の例
本日、Webサイトを公開し、納品作業が完了しました。

公開URL:
https://example.com/

納品内容:
- Webサイト一式
- WordPress管理画面
- 操作マニュアル

公開後2週間以内に確認された制作範囲内の不具合については、初期対応として確認します。

今後の追加修正や更新作業については、内容を確認のうえ別途ご相談させてください。

このようにまとめておくと、案件の区切りが明確になります。

この章のまとめ

  • 納品とは、制作物をクライアントが使える状態で引き渡すこと
  • 納品物、操作説明、管理情報、初期不具合対応を整理して伝える
  • ソースファイルやデザインデータの扱いは事前に決める
  • 公開後は、本番URLで表示、フォーム、SSL、OGPなどを確認する
  • 初期不具合と追加修正を分けて、今後の対応範囲を明確にする