この章では、納品と公開後の対応について学びます。
Webサイトは、公開したらすべて終わりではありません。
納品物を整理し、公開後の確認範囲を伝え、初期不具合と追加対応を分けることが大切です。
納品とは何か
納品とは、制作した成果物をクライアントが使える状態で引き渡すことです。
Web制作では、納品の形が案件によって変わります。
たとえば、次のような納品があります。
- Webサイトを公開する
- HTML/CSS/JavaScriptファイルを渡す
- WordPressサイトを管理画面付きで引き渡す
- デザインデータを渡す
- 操作マニュアルを渡す
- 管理情報を整理して共有する
どれが納品物になるかは、案件の前提によって違います。
制作開始前に決めた納品物を、納品時に改めて確認します。
納品物を整理する
納品時には、渡すものを一覧にします。
納品物が曖昧だと、後から「これも必要だった」という話になりやすくなります。
よくある納品物は次の通りです。
- 公開URL
- 管理画面URL
- 管理者アカウント
- 操作マニュアル
- ソースファイル
- デザインデータ
- 画像素材
- 更新手順
- 保守内容
- 初期不具合対応期間
アカウント情報を渡す場合は、安全な共有方法を使います。
メール本文にパスワードをそのまま書くことは避けます。
操作説明と更新マニュアル
WordPressなど、クライアントが更新するサイトでは、操作説明が必要になることがあります。
操作説明では、すべての機能を細かく説明するよりも、クライアントが実際に行う作業に絞ります。
たとえば、次のような内容です。
- お知らせを追加する
- 実績を追加する
- 画像を差し替える
- 固定ページの文章を編集する
- パスワードを変更する
- 問い合わせを確認する
更新マニュアルは、PDF、Googleドキュメント、Notion、動画など、案件に合わせて用意します。
小さな案件では、簡単な文章とスクリーンショットだけでも十分役立ちます。
ソースファイルの扱い
ソースファイルやデザインデータを渡すかどうかは、事前に決めておきます。
制作会社や制作者によって、納品する範囲の考え方は異なります。
たとえば、公開されたWebサイトは納品するが、作業用の元データは別扱いにする場合もあります。
重要なのは、後から揉めないように、契約前や見積もり時に前提をそろえることです。
公開後の確認
公開後は、本番環境で表示や動作を確認します。
公開前に確認していても、本番URLに切り替わることで確認すべき項目があります。
- 公開URLで表示されるか
- SSLが有効か
- フォームが送信できるか
- 管理者宛メールが届くか
- OGPが正しく出るか
- 旧URLからリダイレクトされるか
- Googleマップや外部埋め込みが表示されるか
- スマホで問題なく見られるか
公開後すぐに、クライアントにも確認してもらいます。
ただし、公開直後の確認範囲と、後日追加される要望は分けて扱います。
初期不具合対応
初期不具合とは、制作範囲内で本来動くべきものが動いていない状態です。
たとえば、次のようなものです。
- リンク先が間違っている
- フォームが送信できない
- 指定した画像が表示されていない
- スマホで大きく崩れている
- 管理画面で更新できない
初期不具合は、制作側で対応することが多いです。
ただし、どの期間まで初期不具合として見るかは事前に決めておきます。
たとえば、「公開後2週間以内に確認された制作範囲内の不具合に対応します」のように伝えます。
追加修正との線引き
公開後の依頼には、初期不具合ではなく追加修正にあたるものもあります。
たとえば、次のような依頼です。
- 新しいページを追加したい
- 原稿を大きく書き換えたい
- 新しいフォームを作りたい
- デザインの雰囲気を変えたい
- 公開後に別サービスと連携したい
- 掲載内容を定期的に更新してほしい
これらは、追加費用や保守契約の対象になることがあります。
線引きを伝える時は、冷たく断るのではなく、対応方法を案内します。
ご相談いただいた新規ページ追加について、公開後の追加対応となります。
内容を確認したうえで、作業範囲とお見積もりをご案内します。
急ぎで掲載したい場合は、まず既存ページ内に簡易的に追記し、後日ページ化する進め方も可能です。保守契約への案内
公開後に継続的な更新や管理が必要な場合は、保守契約を案内します。
保守契約の内容は案件によって異なりますが、よくあるものは次の通りです。
- 軽微なテキスト修正
- 画像差し替え
- WordPress更新
- バックアップ確認
- セキュリティ確認
- 月次レポート
- 問い合わせ対応
- サーバーやドメイン更新の確認
保守契約を案内する時は、何が含まれて、何が含まれないのかを明確にします。
毎月何でも対応する契約にすると、作業範囲が曖昧になります。
納品完了連絡
納品時には、完了連絡を送ります。
納品完了連絡には、公開URL、納品物、初期不具合対応、今後の連絡先をまとめます。
本日、Webサイトを公開し、納品作業が完了しました。
公開URL:
https://example.com/
納品内容:
- Webサイト一式
- WordPress管理画面
- 操作マニュアル
公開後2週間以内に確認された制作範囲内の不具合については、初期対応として確認します。
今後の追加修正や更新作業については、内容を確認のうえ別途ご相談させてください。このようにまとめておくと、案件の区切りが明確になります。
この章のまとめ
- 納品とは、制作物をクライアントが使える状態で引き渡すこと
- 納品物、操作説明、管理情報、初期不具合対応を整理して伝える
- ソースファイルやデザインデータの扱いは事前に決める
- 公開後は、本番URLで表示、フォーム、SSL、OGPなどを確認する
- 初期不具合と追加修正を分けて、今後の対応範囲を明確にする