02. クライアントワーク全体の流れ

この章では、Web制作のクライアントワークがどのような流れで進むのかを整理します。

案件ごとに細かな違いはありますが、基本の流れを知っておくと、今どの段階にいるのか、次に何を確認すべきかが見えやすくなります。

基本の流れ

Web制作のクライアントワークは、ざっくり分けると次のように進みます。

  1. 問い合わせ
  2. 初回ヒアリング
  3. 要件整理
  4. 見積もり・提案
  5. 契約・発注
  6. 素材回収
  7. 構成作成
  8. デザイン確認
  9. 実装
  10. テスト・修正
  11. 公開
  12. 納品
  13. 保守・運用

この流れは、すべての案件で完全に同じになるわけではありません。

小さな修正案件であれば、構成作成やデザイン確認がほとんどないこともあります。

一方で、新規サイト制作では、ヒアリング、構成、デザイン、実装、公開前チェックを丁寧に分けた方が進めやすくなります。

問い合わせから初回ヒアリングまで

最初の問い合わせでは、まだ情報が少ないことが多いです。

「ホームページを作りたい」「今のサイトをリニューアルしたい」「LPを作れますか」といった相談から始まります。

この段階でいきなり正確な金額や納期を出すのは難しいです。

まずは、初回ヒアリングで次のような情報を確認します。

  • 何を作りたいのか
  • 何のために作るのか
  • いつまでに必要なのか
  • 予算感はあるか
  • 既存サイトはあるか
  • 原稿や写真はあるか
  • 相談相手は決裁者か、担当者か

初回ヒアリングは、相手の希望をそのまま受け取る場ではなく、目的と前提を整理する場です。

要件整理から見積もりまで

ヒアリングで聞いた内容をもとに、制作範囲を整理します。

制作範囲とは、今回の案件で対応することと、対応しないことの境界です。

たとえば、次のような項目を整理します。

  • ページ数
  • デザインの範囲
  • コーディングの範囲
  • スマホ対応の有無
  • フォームの有無
  • WordPressなど更新機能の有無
  • 原稿作成の有無
  • 写真撮影や画像選定の有無
  • ドメイン・サーバー対応の有無
  • 公開作業の有無

見積もりは、金額だけを書くものではありません。

何に対する金額なのか、どこまで含まれているのかを伝えるための書類でもあります。

契約・発注から制作開始まで

見積もりや提案内容に合意したら、契約または発注の確認を行います。

個人や小規模案件では、正式な契約書を毎回作らない場合もあります。

ただし、その場合でも、最低限次の内容は文章で残しておく必要があります。

  • 制作内容
  • 金額
  • 支払い条件
  • 納期の目安
  • 修正回数
  • 素材提出の期限
  • 公開作業の範囲
  • 納品物

法律的な判断が必要な契約書の内容は、専門家に確認する領域です。

この講座では、法務の細部ではなく、制作進行で認識違いを防ぐための確認項目として扱います。

素材回収からデザイン確認まで

制作に入る前後で、原稿、写真、ロゴ、会社情報、SNSリンク、フォーム項目などを集めます。

素材がそろっていない状態でデザインや実装を進めると、後で大きく作り直す可能性があります。

そのため、必要な素材を一覧にして、誰がいつまでに用意するかを決めておくことが大切です。

デザイン確認では、見た目の好みだけでなく、目的に合っているか、情報が伝わるか、操作しやすいかを確認します。

実装から公開まで

デザインが固まったら、HTML、CSS、JavaScript、WordPressなどで実装します。

実装後は、制作者側で表示や動作を確認します。

特に、次の項目は公開前に確認しておきます。

  • PC表示
  • スマホ表示
  • 主要ブラウザ
  • リンク切れ
  • フォーム送信
  • 画像表示
  • 404ページ
  • OGP
  • favicon
  • SSL
  • 公開後のリダイレクト

公開日は、制作側だけで決めるものではありません。

クライアントの確認完了、ドメインやサーバーの準備、社内告知のタイミングなども関係します。

納品と保守

公開して終わりではなく、納品完了の連絡を行います。

納品時には、次のような情報を整理して渡します。

  • 公開URL
  • 管理画面URL
  • 操作説明
  • 更新マニュアル
  • 納品ファイル
  • 初期不具合対応の期間
  • 追加修正の扱い
  • 保守契約の有無

公開後に「少しだけ直してほしい」という依頼が来ることがあります。

すべてを無料で対応するのではなく、初期不具合なのか、追加要望なのかを分けて考えます。

どの段階で何を決めるか

クライアントワークでは、決めるタイミングが大切です。

早すぎると情報が足りず、遅すぎると手戻りになります。

目安として、次のように考えます。

段階決めること
初回ヒアリング目的、納期、予算感、現状課題
要件整理ページ数、機能、対応範囲、納品物
見積もり前金額の前提、修正回数、支払い条件
制作開始前素材提出期限、確認者、進行方法
デザイン確認時見た目、情報設計、修正内容
公開前公開日、公開方法、最終確認範囲
納品時納品物、初期不具合対応、保守

すべてを最初から完璧に決める必要はありません。

ただし、「まだ決まっていないこと」を把握しておくことは重要です。

この章のまとめ

  • クライアントワークは、問い合わせから納品・保守まで段階的に進む
  • 見積もり前には、制作範囲と前提条件を整理する
  • 制作開始前には、素材、確認者、スケジュールを決める
  • 公開前には、表示、動作、フォーム、ドメインやサーバーの状態を確認する
  • 納品後の初期不具合対応と追加修正は分けて考える