03. 初回ヒアリング

この章では、初回ヒアリングで何を聞くべきかを学びます。

ヒアリングは、ただ質問を並べる時間ではありません。

クライアントの目的、現状の課題、制作の前提条件を整理し、見積もりや提案に必要な情報を集める時間です。

ヒアリングの目的

初回ヒアリングの目的は、相手の希望をそのまま受け取ることではありません。

大切なのは、なぜ作るのか、何を解決したいのか、どこまで作る必要があるのかを整理することです。

たとえば、「ホームページをリニューアルしたい」という相談があった場合でも、背景はさまざまです。

  • デザインが古く見える
  • スマホで見づらい
  • 問い合わせが増えない
  • 採用応募が来ない
  • 更新しづらい
  • 事業内容が変わった

理由によって、必要なページや優先する施策は変わります。

最初に目的を確認しておくと、制作中の判断もしやすくなります。

事業内容を聞く

まず、クライアントの事業内容を確認します。

Webサイトは、事業の内容や強みを伝えるためのものです。

何をしている会社なのか、誰に何を提供しているのかがわからないと、適切な構成や文章を考えにくくなります。

聞いておきたい項目は次の通りです。

  • 会社や店舗の事業内容
  • 主な商品やサービス
  • 強みや選ばれる理由
  • 競合との違い
  • 現在の集客方法
  • よくある問い合わせ内容
  • 既存顧客の特徴

専門用語が多い業種の場合は、その場で理解したふりをしないことも大切です。

わからない言葉は確認し、あとで調べられるようにメモしておきます。

サイト制作の目的を聞く

次に、Webサイトを作る目的を確認します。

目的が曖昧なまま進めると、デザインやページ構成の判断基準がなくなります。

たとえば、同じコーポレートサイトでも、目的によって優先する内容は変わります。

目的重視する内容
問い合わせを増やしたいサービス説明、実績、CTA、フォーム
採用応募を増やしたい働く環境、社員紹介、募集要項
信頼感を出したい会社概要、実績、取引先、代表メッセージ
情報を整理したいページ構成、導線、更新しやすさ

目的は1つに絞れないこともあります。

その場合は、優先順位をつけます。

ターゲットを聞く

サイトを見る人が誰なのかを確認します。

ターゲットが変わると、文章の書き方、デザインの印象、導線、必要な情報が変わります。

聞いておきたい項目は次の通りです。

  • 個人向けか法人向けか
  • 年齢層
  • 性別
  • 職種や役職
  • 地域
  • 抱えている悩み
  • 比較検討する時に気にすること

ターゲットを細かく決めすぎる必要はありません。

ただし、「誰でもよい」という状態だと、誰にも刺さらないサイトになりやすくなります。

現状の課題を聞く

既存サイトがある場合は、現在の課題を確認します。

課題を聞くことで、リニューアルで何を改善すべきかが見えてきます。

  • デザインが古い
  • スマホ対応が弱い
  • 情報が古い
  • 更新しづらい
  • 問い合わせが少ない
  • ページ構成がわかりにくい
  • 表示が遅い
  • 管理者がいない

課題を聞く時は、クライアントの言葉をそのままメモします。

その後で、Web制作上の課題に翻訳します。

たとえば、「なんとなく見づらい」は、文字サイズ、余白、導線、情報量、スマホ表示などに分解できます。

参考サイトを聞く

参考サイトは、デザインの方向性や情報量を確認するために役立ちます。

ただし、参考サイトをそのまま真似るためのものではありません。

聞く時は、何がよいと思ったのかまで確認します。

  • 雰囲気が好きなのか
  • 色が好きなのか
  • 余白感が好きなのか
  • 情報の整理がよいのか
  • 動きがよいのか
  • 問い合わせ導線がよいのか

参考サイトを複数出してもらうと、共通点が見えます。

その共通点を言葉にして、デザインの方向性に反映します。

必要なページと機能を聞く

サイトに必要なページや機能を確認します。

この情報は、見積もりやスケジュールに大きく関わります。

よくあるページは次の通りです。

  • トップページ
  • サービス紹介
  • 料金
  • 実績
  • お知らせ
  • 会社概要
  • 採用情報
  • よくある質問
  • お問い合わせ
  • プライバシーポリシー

よくある機能は次の通りです。

  • お問い合わせフォーム
  • お知らせ更新
  • ブログ更新
  • 実績追加
  • よくある質問の開閉
  • スライダー
  • 外部サービス埋め込み

この段階では、すべてを確定できなくても構いません。

ただし、見積もりに影響しそうなページや機能は早めに確認します。

納期・予算・決裁者を聞く

初回ヒアリングでは、納期、予算感、決裁者も確認します。

聞きにくい項目ですが、ここを避けると後で進行が難しくなります。

納期については、単に希望日を聞くだけでなく、理由も確認します。

  • イベントに合わせたい
  • 新サービス公開に合わせたい
  • 採用開始に合わせたい
  • 既存サイトの契約更新前に移行したい

予算感については、相手が答えにくい場合もあります。

その場合は、制作範囲によって金額が変わることを説明し、優先順位を一緒に整理します。

決裁者については、最終確認を誰が行うのかを確認します。

担当者と決裁者が違う場合、途中で大きな変更が入ることがあります。

打ち合わせ前に送る質問

初回打ち合わせの前に、簡単な質問を送っておくと当日の話が進めやすくなります。

事前質問の例
今回のWebサイト制作について、事前に以下をわかる範囲で教えてください。

1. 制作したいサイトの種類
2. サイト制作の目的
3. 既存サイトの有無
4. 必要そうなページ
5. 希望公開時期
6. 参考にしたいサイト
7. 原稿や写真の準備状況
8. ドメイン・サーバーの有無

事前質問は、完璧に埋めてもらうものではありません。

打ち合わせで深掘りするための材料として使います。

その場で決めきらない項目

初回ヒアリングでは、すべてをその場で決めようとしなくて大丈夫です。

むしろ、情報が足りない状態で即答すると、後でズレが出やすくなります。

次のような項目は、持ち帰って整理してから回答しても問題ありません。

  • 正確な見積もり金額
  • 詳細な納期
  • 技術的に可能かどうか
  • 追加費用になるかどうか
  • ドメインやサーバーの移行可否

その場でわからないことは、曖昧に答えるよりも、確認してから返答する方が安全です。

この章のまとめ

  • 初回ヒアリングでは、目的、課題、前提条件を整理する
  • 事業内容、ターゲット、必要ページ、機能、納期、予算感を確認する
  • 参考サイトは、何がよいのかまで聞く
  • 決裁者や確認者を確認しておくと、後の手戻りを減らせる
  • その場で決めきれないことは、確認してから回答する