この章では、初回ヒアリングで何を聞くべきかを学びます。
ヒアリングは、ただ質問を並べる時間ではありません。
クライアントの目的、現状の課題、制作の前提条件を整理し、見積もりや提案に必要な情報を集める時間です。
ヒアリングの目的
初回ヒアリングの目的は、相手の希望をそのまま受け取ることではありません。
大切なのは、なぜ作るのか、何を解決したいのか、どこまで作る必要があるのかを整理することです。
たとえば、「ホームページをリニューアルしたい」という相談があった場合でも、背景はさまざまです。
- デザインが古く見える
- スマホで見づらい
- 問い合わせが増えない
- 採用応募が来ない
- 更新しづらい
- 事業内容が変わった
理由によって、必要なページや優先する施策は変わります。
最初に目的を確認しておくと、制作中の判断もしやすくなります。
事業内容を聞く
まず、クライアントの事業内容を確認します。
Webサイトは、事業の内容や強みを伝えるためのものです。
何をしている会社なのか、誰に何を提供しているのかがわからないと、適切な構成や文章を考えにくくなります。
聞いておきたい項目は次の通りです。
- 会社や店舗の事業内容
- 主な商品やサービス
- 強みや選ばれる理由
- 競合との違い
- 現在の集客方法
- よくある問い合わせ内容
- 既存顧客の特徴
専門用語が多い業種の場合は、その場で理解したふりをしないことも大切です。
わからない言葉は確認し、あとで調べられるようにメモしておきます。
サイト制作の目的を聞く
次に、Webサイトを作る目的を確認します。
目的が曖昧なまま進めると、デザインやページ構成の判断基準がなくなります。
たとえば、同じコーポレートサイトでも、目的によって優先する内容は変わります。
| 目的 | 重視する内容 |
|---|---|
| 問い合わせを増やしたい | サービス説明、実績、CTA、フォーム |
| 採用応募を増やしたい | 働く環境、社員紹介、募集要項 |
| 信頼感を出したい | 会社概要、実績、取引先、代表メッセージ |
| 情報を整理したい | ページ構成、導線、更新しやすさ |
目的は1つに絞れないこともあります。
その場合は、優先順位をつけます。
ターゲットを聞く
サイトを見る人が誰なのかを確認します。
ターゲットが変わると、文章の書き方、デザインの印象、導線、必要な情報が変わります。
聞いておきたい項目は次の通りです。
- 個人向けか法人向けか
- 年齢層
- 性別
- 職種や役職
- 地域
- 抱えている悩み
- 比較検討する時に気にすること
ターゲットを細かく決めすぎる必要はありません。
ただし、「誰でもよい」という状態だと、誰にも刺さらないサイトになりやすくなります。
現状の課題を聞く
既存サイトがある場合は、現在の課題を確認します。
課題を聞くことで、リニューアルで何を改善すべきかが見えてきます。
- デザインが古い
- スマホ対応が弱い
- 情報が古い
- 更新しづらい
- 問い合わせが少ない
- ページ構成がわかりにくい
- 表示が遅い
- 管理者がいない
課題を聞く時は、クライアントの言葉をそのままメモします。
その後で、Web制作上の課題に翻訳します。
たとえば、「なんとなく見づらい」は、文字サイズ、余白、導線、情報量、スマホ表示などに分解できます。
参考サイトを聞く
参考サイトは、デザインの方向性や情報量を確認するために役立ちます。
ただし、参考サイトをそのまま真似るためのものではありません。
聞く時は、何がよいと思ったのかまで確認します。
- 雰囲気が好きなのか
- 色が好きなのか
- 余白感が好きなのか
- 情報の整理がよいのか
- 動きがよいのか
- 問い合わせ導線がよいのか
参考サイトを複数出してもらうと、共通点が見えます。
その共通点を言葉にして、デザインの方向性に反映します。
必要なページと機能を聞く
サイトに必要なページや機能を確認します。
この情報は、見積もりやスケジュールに大きく関わります。
よくあるページは次の通りです。
- トップページ
- サービス紹介
- 料金
- 実績
- お知らせ
- 会社概要
- 採用情報
- よくある質問
- お問い合わせ
- プライバシーポリシー
よくある機能は次の通りです。
- お問い合わせフォーム
- お知らせ更新
- ブログ更新
- 実績追加
- よくある質問の開閉
- スライダー
- 外部サービス埋め込み
この段階では、すべてを確定できなくても構いません。
ただし、見積もりに影響しそうなページや機能は早めに確認します。
納期・予算・決裁者を聞く
初回ヒアリングでは、納期、予算感、決裁者も確認します。
聞きにくい項目ですが、ここを避けると後で進行が難しくなります。
納期については、単に希望日を聞くだけでなく、理由も確認します。
- イベントに合わせたい
- 新サービス公開に合わせたい
- 採用開始に合わせたい
- 既存サイトの契約更新前に移行したい
予算感については、相手が答えにくい場合もあります。
その場合は、制作範囲によって金額が変わることを説明し、優先順位を一緒に整理します。
決裁者については、最終確認を誰が行うのかを確認します。
担当者と決裁者が違う場合、途中で大きな変更が入ることがあります。
打ち合わせ前に送る質問
初回打ち合わせの前に、簡単な質問を送っておくと当日の話が進めやすくなります。
今回のWebサイト制作について、事前に以下をわかる範囲で教えてください。
1. 制作したいサイトの種類
2. サイト制作の目的
3. 既存サイトの有無
4. 必要そうなページ
5. 希望公開時期
6. 参考にしたいサイト
7. 原稿や写真の準備状況
8. ドメイン・サーバーの有無事前質問は、完璧に埋めてもらうものではありません。
打ち合わせで深掘りするための材料として使います。
その場で決めきらない項目
初回ヒアリングでは、すべてをその場で決めようとしなくて大丈夫です。
むしろ、情報が足りない状態で即答すると、後でズレが出やすくなります。
次のような項目は、持ち帰って整理してから回答しても問題ありません。
- 正確な見積もり金額
- 詳細な納期
- 技術的に可能かどうか
- 追加費用になるかどうか
- ドメインやサーバーの移行可否
その場でわからないことは、曖昧に答えるよりも、確認してから返答する方が安全です。
この章のまとめ
- 初回ヒアリングでは、目的、課題、前提条件を整理する
- 事業内容、ターゲット、必要ページ、機能、納期、予算感を確認する
- 参考サイトは、何がよいのかまで聞く
- 決裁者や確認者を確認しておくと、後の手戻りを減らせる
- その場で決めきれないことは、確認してから回答する