この章では、AIに依頼するときの基本を学びます。
AI活用で大切なのは、きれいな命令文を暗記することではありません。自分が何をしたいのかを整理し、AIが答えやすい形で伝えることです。
AIへの依頼文のことを、一般的にプロンプトと呼びます。
AIにできること
AIは、文章やコードをもとに、次に来そうな内容を生成できます。
Web制作では、次のような使い方ができます。
- 用語を説明してもらう
- コードの意味を解説してもらう
- HTML構造の案を出してもらう
- CSS設計の方向性を相談する
- JavaScriptの実装方針を比較する
- 文章の下書きを作る
- 提案書の構成を作る
- チェックリストを作る
- エラーの原因候補を出す
AIは、考える材料を出すのが得意です。
特に、複数案を出したり、複雑な内容を整理したり、文章をわかりやすく言い換えたりする場面で役立ちます。
AIにできないこと
AIには苦手なこともあります。
- 常に最新情報を正確に知っているとは限らない
- 出力したコードが必ず動くとは限らない
- 案件の背景を完全に理解しているわけではない
- 著作権や利用規約を最終判断できない
- 本番環境への影響を責任を持って判断できない
AIは自信のある口調で間違えることがあります。
そのため、AIの回答は「答え」ではなく「確認すべき候補」として扱います。
良い質問と悪い質問
AIへの質問は、情報が少ないほど曖昧な答えになりやすいです。
避けたい依頼:
いい感じのLPを作って。これだけでは、対象者、目的、業種、トーン、必要なセクション、制約がわかりません。
よい依頼:
Web制作スクールの無料相談LPを作ります。
対象は、未経験からWeb制作を学びたい20〜30代です。
目的は、無料相談の申し込みを増やすことです。
まず、ファーストビュー、悩み訴求、サービス内容、受講後の未来、FAQ、CTAの順で構成案を作ってください。
各セクションに、見出しと本文の方向性も付けてください。前提があると、AIは目的に近い答えを出しやすくなります。
プロンプトに入れる要素
プロンプトには、次の要素を入れると精度が上がりやすくなります。
| 要素 | 書くこと |
|---|---|
| 目的 | 何のために作るのか |
| 対象者 | 誰に向けるのか |
| 前提 | すでに決まっている条件 |
| 制約 | やってほしくないこと、守ること |
| 出力形式 | 箇条書き、表、コードなど |
| 判断基準 | 何を重視してほしいか |
すべてを毎回書く必要はありません。
ただし、AIの回答がズレるときは、たいてい前提や制約が足りていません。
目的の伝え方
AIには、作業内容だけでなく目的も伝えます。
お問い合わせを増やすためのコーポレートサイトを作ります。
トップページの構成案を、Web制作初心者にも実装しやすい粒度で作ってください。「何を作るか」だけでなく、「何のために作るか」を伝えると、AIの提案が実務に近づきます。
対象者の伝え方
Web制作では、誰に向けたものかで文章もデザインも変わります。
対象者は、はじめてホームページ制作を依頼する中小企業の経営者です。
専門用語を避け、安心感が出る表現でサービス説明文を作ってください。対象者を伝えると、説明の細かさや言葉の選び方が変わります。
制約条件の伝え方
制約条件は、AIの出力を実務に合わせるために重要です。
次の条件でCSSを書いてください。
- JavaScriptは使わない
- class名はBEM風にする
- 既存のHTML構造は変えない
- スマホ幅では1カラムにする
- 余白は8px単位で調整する制約を入れないと、AIが勝手にHTMLを変えたり、必要以上に複雑な実装を出したりすることがあります。
出力形式の指定
AIには、どの形式で返してほしいかも指定します。
次の形式で出してください。
1. 改善ポイント
2. 理由
3. 修正例
4. 注意点表で整理してほしい場合は、表形式を指定します。
FlexboxとGridの使い分けを、Web制作初心者向けに表で比較してください。出力形式を決めると、あとから読み返しやすくなります。
段階的に依頼する
AIに一度で全部やらせようとすると、ズレた出力になりやすいです。
Web制作では、次のように段階を分けると進めやすくなります。
- 目的を整理する
- 構成案を作る
- セクションごとの内容を作る
- HTML構造を作る
- CSSを作る
- レスポンシブ対応を確認する
- アクセシビリティを確認する
AIの回答を検証する
AIの回答は、必ず確認します。
確認する観点は、内容によって変わります。
- 事実として正しいか
- 案件の目的に合っているか
- 読者やユーザーに伝わるか
- コードが実際に動くか
- 既存コードを壊していないか
- セキュリティや権利面に問題がないか
- 説明できる内容になっているか
AIの出力をそのまま納品するのではなく、自分の判断を通した上で使います。
この章のまとめ
- プロンプトは、AIに依頼するための文章
- 目的、対象者、前提、制約、出力形式を伝えると精度が上がりやすい
- 一度で全部やらせず、段階的に依頼する
- AIの回答は、正しそうに見えても必ず検証する
- AIに正解を出させるより、一緒に詰める考え方が大切