07. AIエージェント入門

この章では、AIエージェントに作業を依頼するときの考え方を学びます。

AIエージェントは、チャットで答えるだけでなく、ファイルを読んだり、コードを修正したり、コマンドを実行したりしながら作業を進めるAIです。

便利な一方で、依頼の仕方が曖昧だと、想定外の修正が広がることがあります。

AIエージェントとは

AIエージェントは、一定の目的に向かって、複数の作業を進められるAIです。

Web制作では、次のような作業を依頼できます。

  • 既存コードを読んで構造を把握する
  • ページやコンポーネントを追加する
  • Markdown教材を作る
  • CSSの不具合を直す
  • ビルドやチェックを実行する
  • 修正内容をまとめる

通常のチャットAIは、基本的に回答を返すだけです。

AIエージェントは、実際のファイルや作業環境に触れながら進められる点が違います。

Chat型AIとの違い

Chat型AIとAIエージェントの違いを整理すると、次のようになります。

項目Chat型AIAIエージェント
主な役割質問への回答、相談作業の実行、修正、検証
ファイル操作基本的にしないできる場合がある
作業範囲会話内の情報プロジェクト全体に広がることがある
リスク回答を鵜呑みにする想定外の変更が入る

AIエージェントは強力ですが、その分、指示の精度と確認が重要になります。

タスクを分解して依頼する

AIエージェントには、大きすぎる依頼をそのまま渡さない方が安全です。

避けたい依頼:

範囲が広すぎる依頼
サイト全体をいい感じに直して。

よい依頼:

分解した依頼
まず、トップページのカード一覧だけ確認してください。

目的:
- スマホ幅で横スクロールが出ないようにする
- カード内のテキストが読みやすくなるようにする

作業範囲:
- src/pages/index.astro
- 関連するスタイルファイル

いきなり修正せず、最初に原因と修正方針を説明してください。

目的、作業範囲、確認手順を入れると、AIエージェントが動きやすくなります。

仕様書を渡して作業させる

AIエージェントには、仕様書やルールを渡すと安定します。

Web制作なら、次のような情報が役立ちます。

  • ページの目的
  • 対象ユーザー
  • 既存のデザインルール
  • class名のルール
  • コンポーネントの分け方
  • 対応ブラウザやレスポンシブ方針
  • 変更してよいファイル
  • 変更してはいけないファイル
仕様を渡す依頼
docs/course-authoring-guide.md と docs/style-guide.md を読んでください。

そのルールに合わせて、AI講座の1章をMarkdownで作ってください。

条件:
- frontmatterを必ず付ける
- 見出しは本文では##から始める
- Calloutはnoteとwarningだけ使う
- コードブロックにはtitleを付ける

ルールを渡すと、出力のトーンや構成をそろえやすくなります。

途中で確認を挟ませる

AIエージェントに長い作業を任せるときは、途中で確認を挟ませると安全です。

確認を挟ませる依頼
まず対象ファイルを確認し、修正方針を3行で説明してください。

そのあと、私の確認を待たずに作業を進めて構いませんが、方針から外れる変更が必要になった場合は、その時点で止まってください。

作業を完全に止めたい場合は「修正前に確認してください」と明記します。

自動で進めてほしい場合でも、「方針から外れる場合は止まる」と書いておくと事故を減らせます。

修正範囲を限定する

AIエージェントの作業では、修正範囲を限定することが重要です。

修正範囲を限定する
今回は src/content/lessons/ai/ 配下のMarkdownだけを修正してください。

src/lib/courses.ts やコンポーネントには触らないでください。
変更方針を限定する
既存の文章を大きく書き換えず、見出し階層の修正だけ行ってください。

範囲を限定すると、後から差分を確認しやすくなります。

AIエージェントの暴走を防ぐ指示

AIエージェントには、次のような指示が役立ちます。

  • 既存の変更を勝手に戻さない
  • 関係ないファイルを触らない
  • まず既存コードの書き方を確認する
  • 変更範囲を小さくする
  • 破壊的なコマンドを使わない
  • 生成物を確認してから完了する
  • 不明点があれば質問する

これらは、特に既存プロジェクトで重要です。

AIが正しいと思っても、ユーザーが意図して入れた変更を戻してしまうと問題になります。

教材制作で使う場合

教材制作では、AIエージェントに1章ずつ作らせると管理しやすいです。

教材制作の依頼
docs/course-authoring-guide.md と docs/style-guide.md を参考にしてください。

src/content/lessons/ai/03-prompt-design.md を作成してください。

内容は docs/ai-instructions.md の「AIの基本とプロンプト設計」に沿ってください。
他の章はまだ作らないでください。

章単位で依頼すると、トーンや粒度を確認しながら進められます。

この章のまとめ

  • AIエージェントは、ファイル操作や検証を含む作業を進められるAI
  • 依頼は大きくしすぎず、目的、範囲、制約を明確にする
  • 仕様書やルールを渡すと、出力をそろえやすい
  • 作業範囲を限定し、必要に応じて確認を挟ませる
  • 差分確認と最終判断は人間が行う