この章では、AIエージェントに作業を依頼するときの考え方を学びます。
AIエージェントは、チャットで答えるだけでなく、ファイルを読んだり、コードを修正したり、コマンドを実行したりしながら作業を進めるAIです。
便利な一方で、依頼の仕方が曖昧だと、想定外の修正が広がることがあります。
AIエージェントとは
AIエージェントは、一定の目的に向かって、複数の作業を進められるAIです。
Web制作では、次のような作業を依頼できます。
- 既存コードを読んで構造を把握する
- ページやコンポーネントを追加する
- Markdown教材を作る
- CSSの不具合を直す
- ビルドやチェックを実行する
- 修正内容をまとめる
通常のチャットAIは、基本的に回答を返すだけです。
AIエージェントは、実際のファイルや作業環境に触れながら進められる点が違います。
Chat型AIとの違い
Chat型AIとAIエージェントの違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | Chat型AI | AIエージェント |
|---|---|---|
| 主な役割 | 質問への回答、相談 | 作業の実行、修正、検証 |
| ファイル操作 | 基本的にしない | できる場合がある |
| 作業範囲 | 会話内の情報 | プロジェクト全体に広がることがある |
| リスク | 回答を鵜呑みにする | 想定外の変更が入る |
AIエージェントは強力ですが、その分、指示の精度と確認が重要になります。
タスクを分解して依頼する
AIエージェントには、大きすぎる依頼をそのまま渡さない方が安全です。
避けたい依頼:
サイト全体をいい感じに直して。よい依頼:
まず、トップページのカード一覧だけ確認してください。
目的:
- スマホ幅で横スクロールが出ないようにする
- カード内のテキストが読みやすくなるようにする
作業範囲:
- src/pages/index.astro
- 関連するスタイルファイル
いきなり修正せず、最初に原因と修正方針を説明してください。目的、作業範囲、確認手順を入れると、AIエージェントが動きやすくなります。
仕様書を渡して作業させる
AIエージェントには、仕様書やルールを渡すと安定します。
Web制作なら、次のような情報が役立ちます。
- ページの目的
- 対象ユーザー
- 既存のデザインルール
- class名のルール
- コンポーネントの分け方
- 対応ブラウザやレスポンシブ方針
- 変更してよいファイル
- 変更してはいけないファイル
docs/course-authoring-guide.md と docs/style-guide.md を読んでください。
そのルールに合わせて、AI講座の1章をMarkdownで作ってください。
条件:
- frontmatterを必ず付ける
- 見出しは本文では##から始める
- Calloutはnoteとwarningだけ使う
- コードブロックにはtitleを付けるルールを渡すと、出力のトーンや構成をそろえやすくなります。
途中で確認を挟ませる
AIエージェントに長い作業を任せるときは、途中で確認を挟ませると安全です。
まず対象ファイルを確認し、修正方針を3行で説明してください。
そのあと、私の確認を待たずに作業を進めて構いませんが、方針から外れる変更が必要になった場合は、その時点で止まってください。作業を完全に止めたい場合は「修正前に確認してください」と明記します。
自動で進めてほしい場合でも、「方針から外れる場合は止まる」と書いておくと事故を減らせます。
修正範囲を限定する
AIエージェントの作業では、修正範囲を限定することが重要です。
今回は src/content/lessons/ai/ 配下のMarkdownだけを修正してください。
src/lib/courses.ts やコンポーネントには触らないでください。既存の文章を大きく書き換えず、見出し階層の修正だけ行ってください。範囲を限定すると、後から差分を確認しやすくなります。
AIエージェントの暴走を防ぐ指示
AIエージェントには、次のような指示が役立ちます。
- 既存の変更を勝手に戻さない
- 関係ないファイルを触らない
- まず既存コードの書き方を確認する
- 変更範囲を小さくする
- 破壊的なコマンドを使わない
- 生成物を確認してから完了する
- 不明点があれば質問する
これらは、特に既存プロジェクトで重要です。
AIが正しいと思っても、ユーザーが意図して入れた変更を戻してしまうと問題になります。
教材制作で使う場合
教材制作では、AIエージェントに1章ずつ作らせると管理しやすいです。
docs/course-authoring-guide.md と docs/style-guide.md を参考にしてください。
src/content/lessons/ai/03-prompt-design.md を作成してください。
内容は docs/ai-instructions.md の「AIの基本とプロンプト設計」に沿ってください。
他の章はまだ作らないでください。章単位で依頼すると、トーンや粒度を確認しながら進められます。
この章のまとめ
- AIエージェントは、ファイル操作や検証を含む作業を進められるAI
- 依頼は大きくしすぎず、目的、範囲、制約を明確にする
- 仕様書やルールを渡すと、出力をそろえやすい
- 作業範囲を限定し、必要に応じて確認を挟ませる
- 差分確認と最終判断は人間が行う